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2018年12月4日(火)開催☆【税理士から直接学べる!はじめての人のための確定申告セミナー】 のお知らせ

人生の価格設定

起業したばかりの頃、ある交流会で知り合った友人がいる。

彼女は社会的な意義のある事業をしたいという希望があって、これからの時代に必要な知識やスキルを提供して困っている人の役に立ちたいと夢を語っていた。

それほど頻繁に会うわけではなかったけれど、SNSを通じて活躍しているのは知っていたので影ながら応援していた。

でも、実は彼女の活動を見ていて『あること』が気になっていた。

いらぬおせっかいだとは思いつつも、久しぶりに会おうと口実をつけてカフェでお茶をしながら近況報告をすることになった。

講師業をメインに活動している彼女。

自主開催なので準備は当然すべてひとりで行う。

・講座の告知

・お申し込みメールへの対応

・会場の手配、設営

・当日の受付

・受講者さまへの配慮

・講師としての登壇

・会場の後片付け

・講座のレポート

・受講者さまへのアフターフォロー

わたしも講師業にたずさわっているので、これらをひとりでこなすのがどれだけ大変かはよくわかる。

SNS上ではとても元気そうで明るく振舞っていたが、久しぶりに会った彼女は少し元気がないように感じた。

ひととおり近況報告をしあったあと、わたしは思い切って問いを投げかけてみた。

「…仕事、しんどくない?」

一瞬『はっ』としたような表情をして彼女はこちらを見る。

でもすぐに目を伏せて、小さな声で

「うん、少しね…」

と独り言をつぶやくように答えた。

「実はこれからは講師依頼された時にだけすることにして、それ以外はパートで働こうかと思ってるんだ」

「(やっぱり…)」

出るべくして出た言葉だと思った。

わたしが気になっていた『あること』

それは『提供しているサービスの価格の低さ』

彼女の活動理念や目的自体は変わっていない。

ただ気持ちと体力が続かないのだという。

価格設定について「せっかくニーズのあるテーマだし、もっと高く設定してもいいんじゃない?」と一度話したことがある。

けれど、

「価格を高くすることで本当に必要な人に届かなくなるのが困るし、たくさんの人に気軽に来てほしいから。いろいろな人にお世話にもなっているしね」

という信念を変えることはなかった。

そして信念を変えていないからこそ『活動を縮小する』という選択をしたのだろう。

言いたいことはいっぱいあったが、彼女が悩みぬいて決断したことに異論を唱えるいわれはない。

彼女は友人であり、悩みを相談に来たお客さまではない。

わたしは彼女のコンサルでもない。

「…そっか。でも必要としている人はきっと多いから、細々とでも続けていきなよ」

と言うだけにとどめ、また会おうという約束をかわして別れた。

起業をすると必ず直面する『価格設定の壁』

やすやすと越えられる人もいれば、彼女のようにいつまでも苦しむ人がいる。

彼女が価格を低いままにしている理由が「たくさんの人に来てもらいたいから」だけではないのは明白だ。

彼女は社会的意義のある事業でお金を稼ぐことに大きな抵抗を感じていた。

自分の理念や覚悟を価格に反映させることができなかった。

そして彼女が活動を縮小することで、これから出会うであろう彼女のサービスを本当に必要としている人は問題解決の機会を損失することになってしまった。

価格を低くすることが果たしてお客さまのためになるのだろうか?

お客さまは価格であなたを選ぶのではなく、あなただからお金を払ってでもサービスを受けたいのではなかったか?

価格を高くしても価値のあるサービスだということを、自信を持ってもっと発信するべきだったのではないか?

「それだけお客さまと真剣に向き合いますよ」という覚悟を見せなければならなかったのではないか?

むしろ価格であなたを選ぶ人は、別にあなたじゃなくてもいい。

そして価格を低くすることで自分がつらくなってしまうのなら、起業していても意味がない。

価格設定には提供する人とそれを購入する人双方の”人生”がかかっているのだと思う。